多くの文人に愛されてきた篠島

史の島・・・詩の島・・・癒しの島・・・篠島(しのじま)

篠島は、知多半島先端の師崎から4km に位置する周囲6.9キロの小さな島です。
知多半島や日間賀島の堆積岩と異なり花崗岩で形成された起伏に富んだ地形で
夏は海水浴場となる800mの穏やかな砂浜と険しい岩場のコントラストが美しく
また、いくつかの無人島に囲まれ独特の景観を見せています。
年平均気温は15°で黒潮の影響を受け、冬は温かく夏は涼しい温暖な気候です。
雨量も東海地方としては少なく、年降水量は1,500 ㎜前後です。

篠島に人の生活の痕跡が見られるのは、縄文時代の遺跡から始まっています。
歴史に登場するのは、万葉集に「夢のみにつぎて見えつつ篠島の 磯越す波のしくしく思ほゆ」と歌われたのが最初です。

また古伊勢神宮と深くかかわり、島には伊勢神宮直轄領のおんべ鯛調製所があります。
篠島の鯛(おんべ鯛=御幣鯛)を伊勢神宮に奉納する祭事が10月12日に行なわれ
毎年、決まりにより大、中、小、合計508尾が太一御用(太一とは天照大御神の意)の
旗をかかげた島の漁船で運ばれ、御神饌として奉納されています。
島の神明神社の建物は、20年ごとに伊勢神宮の用材で建て替えらています。
このような神事が1000年以上にわたり守られてきました。
島民の信仰の篤さのあかしです。

島は太平記にも記され、義良親王(後の後村上天皇)に飲料水を差し上げた
帝井(みかどのい)が今も豊かな清水を蓄えています。
江戸時代初期には加藤清正が名古屋城築城のために石を切りだしたものの
あまりの巨大さのために運び残した「清正の枕石」が有名で
ほかにも島の各所に風波に耐えた深い石切の鑿跡が多く点在しています。

篠島はまた寺社の多い島で人口1800人余りの小さな島に、
新四国八十八ヶ所の札所である医徳院や正法寺、正松寺などのお寺に加え
島内を一巡する形で八十八の弘法様を巡る弘法道があります。

篠島の主産業は漁業です。篠島では世帯数よりも漁船数の方が多く
島に独立した市場があり、日本一の水揚げと品質を誇るしらすを筆頭に
10月から3月までのフグ漁と、明石のタコより美味いと言われるタコ壷漁のタコは
それぞれ愛知県一の水揚げを誇っています。
また篠島は古来より「鯛の島」と言われてきました。
日本書紀に記された倭姫命(やまとひめのみこと)がその味に感銘した鯛は今も変わらず一本釣りで水揚げされています。

篤い信仰に支えられた純朴な島民のおだやかな人情と
歴史の脈動を感じさせる多くの史跡に加え
篠島独特の景観、そして豊かな海の幸が多くの文人を引きつけてきました。

 

    会津八一

まどひくき はまのやどりのまくらべに ひねもすなきし ねこのこのこえ     

     種田 山頭火

歩きつずけて荒波に足をあらわせてまた

春風に聲はりあげて何でも十銭

花ぐもりの病人嶋から載せて来た

島へ花ぐもりの嫁の道具積んで漕ぐ

やっと一人となり私が旅人らしく

島々人が乗り人が下り春らんまん

波の上をゆきかふ挨拶なげかわしつつ

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【お弁当のススメ】

GWや夏のハイシーズンをのぞくと篠島でのランチは散策路や釣り場から離れていて意外に不便だったりします。

午前中に到着されて釣りや散策など楽しまれる場合はお弁当の持参をおすすめします。

すてきな場所を見つけ、潮風に吹かれながらのお食事は楽しいひと時になると思います。

(ゴミは必ず宿までお持ち帰りください。)

早い時間でも到着されましたらお電話を下さい。港までお迎えに上がります。

荷物などをお預かりしますので身軽になってそれぞれのお楽しみを満喫して下さい。

潮風が心地よい、南風のテラスもご利用下さい。