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伊勢湾のコウナゴをたっぷり食べていました

小さなもので1.2キロ、大物は70センチ、3.4キロでした。
36名さま分の刺身です。

昨年購入した酔心の6寸出刃でさばきました。
切れ味については三枚おろしから最後の梨割りまで終えても不満はありません。
3.4キロの梨割りには長さ不足気味ですが、苦もなく割れました。

酔心独特のやや深めの裏すきと刃付けは文句無しです。
初めて手にした時は「出刃がこんな細い裏で大丈夫か」と思うほど繊細な刃付けでした。
不安はありましたが切り刃の角度ときれいなはまぐりが気に入って
砥石を当てずにそのまま使い始めました。
購入時のままで研がずに使い始めた包丁は他に記憶がありません。
皮引きに使うトウジロウの9寸がおもちゃに見えるくらい力のある出刃です。

手に馴染むまで、この包丁に引っ張られそうです。

2011年 3月 09日 | Others | 伊勢湾のコウナゴをたっぷり食べていました はコメントを受け付けていません

「研ぐのが大変でしょう?」と言うリクエストにお答えします

横浜在住の主婦の方からメールをいただきました。
全部研ぐわけではありません一日で使うのは出刃、柳刃で多くても3〜4丁です。

包丁は一日使用すれば、ほとんどの場合研ぎます。
切れない包丁ほど嫌なものはありません。
我慢できなくなるまで使い倒してから研ぐより、毎日研いだ方が物理的にも精神的にも省エネです。

柳刃で、刃こぼれが無ければ、仕上げ砥石を刃先に軽く当てる程度です。
完全にかえりが出るまでは研ぎません、最後の糸引きでかえりが揃う程度の研ぎです。
これが使用後、毎日の研ぎで、所要時間は、ほんの数分です。
この研ぎが3〜5回くらい続くと刃の角度を守るために一度1000番の中砥石、
必要に応じてもっと荒い砥石に戻って切り刃全体を研ぎます。
包丁には一本一本クセがあり、すべて研ぎ方が異なりますが糸引きはできるだけ小さくします。
究極の手抜きとして、切れが落ちた包丁は糸引きと軽い裏押しだけで切れは復活します。
数秒で終わります、しかしこれをやると後で必要な研ぎしろが大きくなり包丁の寿命を縮めます。
また裏だけを研いでも刃は付きます、楽ちんですが裏の刃が部分が広くなって、
裏すきが浅くなると引いた刺身がまとわりつき身離れが悪くなります。
うまく表現できませんがしゃきっとしない酔っぱらったような力の無い包丁になってしまいます。
刺身を引く柳刃は裏に糸引きは付けませんが、皮引きなど、雑用に使う柳刃は
裏にも浅く小さな糸引きを入れます、皮が裂けて残ってしまうごく稀な交通事故が防げます。
また柳刃はまな板も切っています、まな板に当たる切っ先のアール部分は、感覚的に
ほんのわずかだけ刃先を鈍くしています。

出刃は若干コントロールが難しくなるような気がしますが二段刃に研ぎます。
切り刃は一般的な角度より、切っ先部分から中央くらいまで、しのぎを上げて鋭くしています。
逆に中央から顎までは、刃先部分だけ、かなり鈍い角度に研ぎ上げます。
通常の使用後の研ぎは切り刃部分全体は研がず包丁を起こし気味に刃先だけを研ぎます。
ただし柄を持つ右手で砥石との角度をしっかり決めないと、なんともイラつく切れ味になってしまいます。
糸引きは、起こし気味に、裏にも浅く小さな糸引きを入れています。
出刃では、仕事に支障がない、ほんの小さな刃こぼれは見なかった事にします。

一ヶ月に一度くらいは切り刃全体を研ぎ、好みの姿に整えています。
ただし、出刃は必要以上に切れすぎても仕事のリズムが狂い、使いづらいくなります。
「切れない」と「切れを抑え強くする」は異なります。

それぞれの包丁の特性、使い勝手、砥石の種類で研ぎは変ってきます。
包丁の特性と使い勝手に合った研ぎ方が大切で自分の包丁を知る事です。
さらに砥石との相性で組み合わせはかなり多くなります。
あまり参考にならないと思いますが以上が自分の研ぎの手順です。

包丁はいかに大切にしても研げば小さくなる消耗品です。
切れないから無理をする、無理をするから刃こぼれが起きる、
刃こぼれを消すために大きく研ぐ・・・悪循環です。

毎日の研ぎは大切な包丁の寿命を延ばします。

2011年 3月 08日 | Others | 「研ぐのが大変でしょう?」と言うリクエストにお答えします はコメントを受け付けていません

包丁

今日は、包丁の点検をしました。
忙しい中の日々の研ぎで手抜きや狂いがないか一本一本、じっくりながめました。
そして、たまにはすべて陽の当たるところへ出してやろうと(笑)
記憶が曖昧な所はご容赦下さい。

まず柳刃、サイズは新品時の長さです。

左から青二鋼 本焼き 尺
白二鋼 本焼き 尺 ふぐ引き
INOX本焼き うす引き 尺 

青二鋼 霞 尺二寸
青二鋼 霞 尺
青二鋼 霞 尺
青二鋼 霞 九寸 ふぐ引き

グローバルプロ 尺 モリブデンバナジウム鋼(メスと同じ素材と言えば分かりやすいでしょうか) 
グローバルプロ 尺 モリブデンバナジウム鋼
トウジロウプロ 尺 モリブデンバナジウム鋼
トウジロウプロ 9寸 モリブデンバナジウム鋼

次は出刃、本当に縁の下の力持ちです。

左から白二鋼 霞 八寸
白二鋼 霞 八寸
白三鋼かも? 霞 たぶん八寸

白二鋼 霞 七寸
白二鋼 霞 六寸
たぶん青鋼 霞 五寸五分

白二鋼 霞 たぶん七寸(もう鋼部分が残りわずかです)
青二鋼 霞 (元は尺一寸の柳刃で鋼部分が割れたためカットして小出刃のように使っています)
白二鋼 霞 六寸(去年購入)
グレステン 八寸(一番酷使されています)

五寸五分や六寸は新品の時から一つか二つ上のサイズの柄に交換して使っています。
出刃の本焼きは、研ぎがしんどいような気がします。どうなんでしょう? 

その他

グレステン 筋引き 尺一寸
グレステン 骨すき 五寸
青二鋼 霞 薄刃 六寸 
青二鋼 鎌形薄刃 六寸
鋼不明 菜切り 六寸 

全部出してみると結構な数になりますがそれぞれ用途があります。
ここ数年でステン系が増えました。

砥石を当てたのは出刃が二丁と柳刃が一丁だけで、薄刃の錆び落としと
研ぎベリで鋭くなった顎を危険防止のためヤスリで丸くしたのが数丁でした。
すっきりしました。

2011年 3月 07日 | Others | 包丁 はコメントを受け付けていません

新しい料理コース

2011年になってからずっと料理プランについて考えていました。
長くAコース、Bコース、お好みの一品を加えてCコース、季節のふぐ大漁コースの
4コースでやってきました。

昨年のご宿泊状況を見ると、AあるいはBコースに伊勢エビとアワビを別注で加えるお客さまが多く、いっそ新しいコースとして予約時、お客さまの煩雑を解消しようかと思うのが一点、さらに伊勢エビは9月~4月、アワビは2月~9月の旬として積極的に仕入れてきましたが、一般的に言われている旬ではなくとも、やはり伊勢エビ、アワビの独特の味をご希望されるお客さまが多く、通年の特別プランとしてコースに加えた方がお客さまの便益にかなうと感じています。

現在、伊勢海老、アワビはお客さまの人数に見合ったサイズを選びグラム単位まで計量し可能な限りお値打ちにお楽しみいただいています。
これまでどおりのコンセプトでお好みの一品としてもご用意します。

伊勢海老、アワビともに漁獲場所にこだわりがあり、出漁状況によってはご用意出来ない時期もありますが、出来る限りご要望にお応えしたいと思っています。
準備ができ次第、料理とご予約のページに加えます。
新しいコースも旅の特別な一夜のお楽しみとしてご利用下さい。

もちろん海を望む水入らずのゆったりお部屋食、BGMは波の音です(ちょっと営業)

2011年 2月 18日 | Others | 新しい料理コース はコメントを受け付けていません

コメント欄には画像がはれないので

こちらに書きます。

白、青とは鋼(ハガネ)の種類です。
白・・刃物鋼では紙、白紙と言いますが添加物の無い炭素鋼です。
青は白にクロムやタングステンを加えて粘り強くした素材です。
化合物や炭素量の割合で青紙1号とか青紙2号、白紙1号、白紙2号とか
幾つかに分類されます、包丁用のステンは銀紙とよばれ、これも何種類もあります。

特徴をごく簡単に言うと白はしゃきっとした切れ味、青はまったりしているようで芯は強く、丈夫で長持ち、銀は時代にマッチした新人類ですかね。
砥石えらびや研ぎ方によりますがこんな感じです。
一番いい素材を使えばいいんじゃないかという話になりますが事は単純じゃありません。
触れただけでざっくり切れてもすぐ切れが落ちては意味がありません、青には青、白には白の魅力があります。

「青が研ぎやすい、いや白だ」とまったく異なる意見があります。
それは砥石の違いであったり研ぎで最良の状態にするアプローチが人それぞれ違うためと思います。
一般的には研いだ時に裏に出るカエリは青の方は粘りがあるため糸くずのようになり、白では青ほどつながりません、極端な等級でなければ研げば青か白かは判別できると思います、包丁は青の方がやや高価です。
要はその包丁にどんな機能を求めるかであって、砥石選びや研ぎ方で包丁の性格も変わって来るということです。白と青に限定されるなら自分は柳刃は青、出刃は白が好きです。

たぶん一般の人の感覚では包丁は刃先が鋭ければ切れると思ってるのではないでしょうか。包丁は刃先の鋭さで切るのではなく研ぎ上げて刃先に残るギザギザ(たぶんミクロン単位)、つまり刺身はのこぎりで切っているのです。だから鋭ければいいと極端に目の細かい超仕上げで研ぎ上げたら髭は剃れても刺身は滑ってしまい切れるという感覚にはなりません、白より薄く研げる青では特に顕著です。この刃先のギザギザをいかに適正な大きさで正確に並べるかが包丁研ぎの目的とイメージしています。そしてその状態が長く続くのが、長切れする包丁とか切れ止まらないとか言います。青も白も銀もそれぞれ短長があります、それを目的に合わせて短を隠して長を引き出すのが研ぎです。

霞とは和包丁の製法の違いによる呼び名です、おおまかには「霞」と「本焼き」の二種類です。
一般的な和包丁は切り刃(裏)部分だけが鋼(ハガネ)で鋼と軟鉄を重ねて出来ています、普通に研げば刃先の鋼部分は鏡面のように光りますが軟鉄の部分は霞がかかったようなつや消し状態のままです(手をかければ鏡面にすることも可能です)それで「霞」とか「合わせ」と言われます。
それに対して本焼きは鋼だけで出来ています、こちらの方が高価です。
自分も尺の本焼きを持っていますが、まれにしか使いません。
何に例えればいいのでしょう?「霞」は一般車で「本焼き」はスポーツカーでしょうか。
どちらも高速を100キロ前後で走るには十分な性能があります、スポーツカーの時速300キロが必要かどうかです。本焼きが無用というのではありません、それはそれでいろいろな意味があります。

霞の包丁

本焼き

裏すきとは片刃の裏がわのくぼみの事です。なぜくぼんでいるのかというと。柳刃などは刺身の身離れを良くするためと、研ぎやすくするためです、これは鉋や鑿でも同じです、繊細な切れ味優先の鉋の裏は細く、玄翁で叩くために強度が必要な鑿は裏をやや広くします。「鉋の糸裏、鑿のベタ裏」と言われる所以です。片刃の刃物は裏が命です、裏の研ぎは特に慎重になります。

研ぎは難しいです、場数を踏むしかありません。
包丁の材質、切刃の形状、包丁の用途、そして砥石選びなどなど・・・
毎日仕事を終えてから包丁を研いでいると、違う砥石、違うアプローチでもっといい結果が出るかもと雑念がわいて
ともすれば「マニア」になりそうな自分にブレーキをかける毎日です(笑)

追加です。

上で本焼きにも意味があると書きました。
刺身はグレステン筋引きでも十分引けます、へたな柳刃より切れますし、切れも長くもちます。
しかしこの魚を食べていただけるというお客さまへの感謝の気持ちが切っ先へ乗らないのです。
なぜだか分かりません。
これの逆に位置するのが本焼きの包丁かもしれません。
研ぎすました本焼きを手にすると自然に背筋が伸びます。

2010年 12月 11日 | Others | コメント欄には画像がはれないので はコメントを受け付けていません

新しい柳刃を仕入れました

某一流メーカーのプロ仕様の9寸でメーカー定価は¥16000、実勢価格で一万くらいです。
目のある人が見ればすぐメーカーが割れるので画像はのせません。
材質はモリブデンバナジウム鋼(医療用メスと同じ素材)で刀身にも狂いは無く大まかな形はよいのですが細部が雑です。
新品ではシノギから刃先までベタ研ぎで、糸引き刃というより1/3ミリくらいの二段刃になっています。
まるでカッターナイフですね。
爪にのせれば滑って使えないので試し切りするまでなくさっそく研いでみました。
まず切刃のムラを#1000の中砥で抜き、1/3ミリくらいの二段刃を刃先から3ミリほど研いで消しました。
次に#3000でさらに1ミリほど伸ばして小さなはまぐりにしました。
裏のカエリ加減ではINOX鋼より硬度は高そうに見えます。
まあ、HRC硬度で60だ59だと言っても実際に研いで使ってみると硬度と粘り強さは別物で
どこまで薄く研いで切れ味と刃持ちを出せるかは使ってみなければ分かりません。
仕上げは北山の#8000で、最後に45°くらいの糸引きをつけました。
裏すきはひどいです。少し研いでみると刃先側で狭い所は1ミリ、一番広い場所で3ミリ近く出ました。
峰側は、さらに酷く裏のつかない所さえあります。
仕上げ砥石が狂っているのかと、砥石面を確認してしまいました。

たしかにプロ用です、包丁各部分の機能を理解した研ぎが出来ない人には使えません(笑)

峰のムラもゴシゴシと抜きたいしマチや顎の形状もなんとかならんかと言うくらい不細工ですが
すべて修正できます。裏のすきもその気になれば少しくらいは直せます。
全体の形や手に持った感覚はバランスがよく、使いやすそうです。
これで材質に問題がなければ一万円は高くないです。
有名ブランドなので材質は大丈夫でしょう。

ふだんは皮引きや冊取りやその他雑用に一丁、刺身を引く専用に二丁と計三丁の柳刃を用意します。
これは前者用です。
錆びないINOXを皮引きや雑用に使い始めましたが何度か研いでポイントがつかめたら予想以上に切れるし刃持ちもいいのでランクを上げて刺身を引く方に回しました。
今回の柳刃はその後釜です。

砥石と包丁に10万の予算があるとします。
9万の青の本焼きと一万の砥石を買う方がいいか、
3万の霞を二丁そろえて砥石に4万かけるか
どちらがいいかは仕事によって違うでしょう。
自分のように一日最大で40名さまの刺身(キロサイズの鯛や平目が10匹から12匹)を引くならば断然後者です。
いくら長切れする本焼きでも後半はへたるし、また毎日の研ぎとなると本焼きはしんどいです。
それより皮引きや雑用専用の柳刃一丁と刺身を引くだけのために研ぎ上げた二丁の柳刃がスタンバイしていたほうが安心です。

カウンター仕事のようにお客さまから見えるなら、黒檀柄、鏡面の本焼きが欲しくなりますが
あくまで裏方ですから機能第一です。

切れ味と刃持ちをどこでバランスさせるかは、これからです。
研いだ加減や全体の姿では使いやすい柳刃になると思います。

気分的には可もなく不可もなし、個性(クセ)がなさそうで面白みに欠ける包丁ではあります。
この手の包丁は店で手に取ってみるまでもなくメーカーがしっかしているので画像で全体の姿とサイズ、材質の説明さえ読めばネットで安心して買えます。
今の時代に合った包丁なのでしょう。

2010年 12月 09日 | Others | 新しい柳刃を仕入れました はコメントを受け付けていません

大鯛に敬意

とっておきの青の本焼きを研ぎました。
映ったデジカメにピントがあったみたいです。

2010年 11月 16日 | Others | 大鯛に敬意 はコメントを受け付けていません