Pet is Famlly

我が家のぐ〜たら

寝正月を決め込んだようです



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2008年 12月 31日 | Pet is Famlly | 我が家のぐ〜たら はコメントを受け付けていません

としより犬のボーイ




としより犬のボーイは13才でした。

人間だともう立派なおじいちゃんです。
白い体に茶色のブチ模様があって、玄関の脇に置かれた犬小屋から、頭をだけ
ちょこんと出して、家の前を通り過ぎる人の姿を見ているのが大好きでした。

近所の家で生まれた雑種の子犬を、会社帰りお父さんが「あんまり可愛いから」
ともらったきたのがボーイと家族との出会いでした。

年を取ったボーイは少し足が悪くなって昔のように早く走れなくなりましたが
それでも家族はボーイにいつも声を掛けて頭を撫でることや、朝夕の散歩を
忘れませんでした。

夏のある日、親戚のおばさんがやってきました。おばさんはお母さんが
持ってきた麦茶をゴクゴクと飲み干すと、おでこにタオルを当てながら言いました。

「そうだわ。あのね、うちの隣で可愛いマルチーズの赤ちゃんが生まれたのよ。
 でも、全部飼いきれないからって、飼い主さんがもらい手を探してるのよ。
 ねえ、どう?小型犬だしちゃんと血統書もついているのよ。人助けだと思って
 頼まれてくれないかしら」

その夜、お母さんが夕食の時におばさんの話をすると、家族はみんな賛成しました。

「ボーイももう年だし、一緒に飼ってもケンカしたりしないだろう。小型犬も可愛い
 だろうしな」

「血統書もちゃんとついているんだけど、今はなかなか犬をもらってくれる人が
 いないらしくて。もらってくれるだけで有り難いそうなの」

「子犬が来たらボクが一番に散歩に連れていくんだ」

「ダメだよ、ちゃんと予防注射してからじゃないとね」

「そうね、また色々わんちゃんの為に買い物しなくちゃね」

その頃ボーイは前足にあごを乗せて、丸いお月様をまぶしそうに見上げていました。


「わあ、ちっちゃいね」

家にやってきたマルチーズの赤ちゃんは、まるでわた菓子のように真っ白で片手に乗って
しまうほど小さい犬でした。お父さんはその子犬を抱き上げてボーイの前に連れてくると

「ほら。こりゃ、うーん。ボーイの…孫ぐらいかなあ。はじめまして。ボーイおじいちゃん
 よろしくね」

と言いながら子犬にこくんとお辞儀をさせました。

「ねえねえお父さん、早く早く。」
「おう。わかったわかった」

その日はそれから誰も家の外に出ることはありませんでした。
ボーイは時折ドアのすみっこを前足でガリガリとかきましたが、そのあとは犬小屋に
体をすっぽり隠して寝てしまいました。


「コラコラ、ひもをかじっちゃダメだよ。マーチ!見て見てお母さん」

「だって初めて首輪を付けるんだもの、マーチだって嫌がるわよ」

予防注射も終わってマーチと名前を付けられた子犬はいよいよ散歩に出ることになりました。
首には真新しい可愛い首輪が付けられていました。

ボーイも散歩に連れていってもらえると思って、くるくる回ってシッポを振りました。

「2匹一緒はまだ無理ね。ボーイはお父さんが帰ってきてからよ。後でね」

「お母さん早く早く。あーもうおしっこしてるー」

「ほら、車来てるじゃない!気をつけなさいよ。おいでおいでーマーチ」

ボーイが首に付けている色あせてすり切れそうなこの首輪は、自分と家族との長い歴史の
証でありたいとボーイは思っていました。

夕焼けがボーイの背中に赤く広がっていきました。


季節が一つ流れました。


日曜日、おじいちゃんが遊びに来ました。人なつこいマーチはおじいちゃんを見て、玄関から
飛び出し嬉しそうにシッポを振ります。

「ほほー。これがえーっと何とかチーズっていう犬か」

「マルチーズだよ、おじいちゃん。マーチって言うんだ」

「ああ、そうそう。マーチかい。何と小さいもんじゃ。ボーも最初はこんなもんだったなあ」

おじいちゃんはボーイを「ボー」と呼んでいました。

「さあさあ,どうぞ上がって下さい」

「ねえねえおじいちゃん、マーチはお手もできるようになったんだよ」

「ほー。お利口さんだ。ちょっと待てよ。ボーにも挨拶せんとな」

ボーイはきちんとおじいちゃんの前に座るとまっすぐな瞳でおじいちゃんを見つめました。

「なんだかボーも急に老けたか。ん?ちっこいのが来て構ってもらえんだろ。
 今日は夕方にじーちゃんがボーの散歩連れていってやろうな。ジジイ同志もいいわな」

おじいちゃんはボーイの顔を両手ではさむとゴシゴシと撫でました。

「さあ、ボーよ。散歩するか。あのちっちゃいのはやかましくていかん。年よりは年より同志に
 限るわな。はっはっは」

首輪にリードを付けるとボーイはのっそりと犬小屋から出てきました。
二人はゆっくりと歩き出しました。

散歩の途中でボーイは「ゼッゼッ」と咳をするとその場から動かなくなりました。

「ボー。家までもうすぐだからガンバレや。ボーの好きな牛肉も持ってきたから晩ご飯は豪勢ぞ」

ボーの口から白い泡が出てきました。おじいちゃんはあわててボーイを抱きかかえると
近所の動物病院に飛び込みました。

「だいぶ前から調子が悪かったんじゃないか、って獣医さんがな。心臓がいかんらしい。
 だいぶとな」

「そういえば最近は散歩もあんまり行きたがらなかった感じがあったけど」

「子犬に気を取られてボーのこと、ちゃんと見てやらんかったか」

「そんなつもりはないけど。でもそんなことがまったくなかったとは…言えないわね。
 ごめんね。ボーちゃん。おじいちゃんの言うとおりかも知れないわ」

「おじいちゃん、ボーイは死んじゃうの。ボクが遊んであげなくなったから?おじいちゃん
 ボーイは死なないよね」


家族の集まる居間に毛布が敷かれて、そこでボーイは横になっていました。

「年よりはな、寂しいもんさ。別に特別扱いして欲しいとは思わんがやっぱり家族じゃからな。
 忘れられたら家族じゃなくなるんじゃの、なあボーよ。」

ボーは薬を飲んで静かに眠っていました。

昼間、家にはだれもいないくなってしまうので、ボーイが落ち着くまでおじいちゃんはこの
家にいることになりました。ボーイは日に日に弱りましたが、おじいちゃんの膝枕で昼寝を
したり、家族みんながボーイの周りに集まって色んな話をするようになりました。

走ったり一緒に遊んだりすることはもうありませんでしたが、ここにボーイがいるだけで
家族は集まり、幸せな時間を過ごしました。幼いマーチもまるで父親によりそうように
いつもボーイの傍らで過ごすようになりました。


ある日。

おじいちゃんがボーイの横で新聞を読んでいると、ボーイは急に体を起こしてさかんに
シッポを振りました。しかし、目は焦点があっておらず、すぐにまたフラフラと倒れ込んで
しまいました。

おじいちゃんはボーイにその時が来たことを知りました。

「ボー。昔のことを思い出してるか。何も言わんでよう頑張ったな。そうよボー。わしが死ぬ時には
 ボーが迎えに来て、ばあさんの所まで連れてってくれ。迷わんようにちゃんと迎えに来てくれよ。
 忘れずにちゃんとな。ボー約束じゃ」

おじいちゃんはボーイの前足を握って

「ボー、指切りげんまんじゃ。次に会う時までさよならな、ボーよ」

マーチはボーイとおじいちゃんの指をぺろぺろとなめつづけました。

天国で散歩が出来ないと困るから、とボーイの色あせてすり切れそうな首輪はボーイと
一緒に煙になりました。


おじいちゃんが亡くなる前、少しだけ意識が戻ったとき、おじいちゃんは部屋から見える
庭をのぞき込んで

「おう、ボーか。ちゃんと忘れずにいたんだな。よしよし、今そっちに行くから」

と言いました。

おじいちゃんはボーイの、あの色あせてすりきれそうな首輪につながれたリードを
しっかりと握ると、おばあちゃんの待つ場所へ続く長い階段を、ボーイと並んでゆっくりと
ゆっくりと昇り始めました。


 

                                                                                                             by ちろる



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2008年 10月 17日 | Friends and Pet is Famlly | としより犬のボーイ はコメントを受け付けていません

ドライブインにて

「言うこと聞かないと篠島まで帰らないで、ここへ捨てちゃうぞ」

ゴミ箱に 缶、ペットと書いてあるし






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 愛知県 知多半島 南知多 篠島の宿 南風
 URL http://www.nanpuu.jp/

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2008年 10月 10日 | Pet is Famlly and Shop & Travel | ドライブインにて はコメントを受け付けていません

桜の樹

私は桜の樹です。




私は中山さんちの庭に立っている桜の樹なんです。


中山さんのおうちは6人家族です。おじいちゃんにお父さん。お母さん、そしてまことくんと
みゆきちゃん、そして私と一番の仲良し、犬のてっちゃんです。


てっちゃんは、凍えるような冬の日にやってきて、私の根元に座り込み


「おかあさんおかあさん」


と鳴いていました。私がどうしたの、と聞くと


「おかあさんがでていったきりかえらないの」


と言いました。もしかするとエサを取る途中で車にでもひかれたのかもしれません。でもまだ
ちいさな子犬のてっちゃんをそのまま放っておくわけにはいきません。私はてっちゃんに


「ここのおうちの人はみんないい人だから、あそこの茶色い玄関の前で、大きな声で何回も
 ほえてごらん」


といいました。てっちゃんは


「いやだよ、だってぼくこわいもの」


と下を向いてしまいましたが、私が


「大丈夫。私がちゃんとここでみていてあげるから。このままだと寒くてお腹がすいて病気に
 なってしまうのよ」


と言うと、てっちゃんは少し体をふらふらさせながら、なかやまさんちの玄関の前まで来ると


「きゃんきゃん。きゃん!きゃんきゃんきゃん!」


と大きな声で一生懸命にほえました。


少しすると中から鍵の開く音がして、まことくんが出てきました。


「あっ。お姉ちゃん、来て来て。玄関に子犬がいるよ」


廊下をバタバタ走る音が聞こえると今度はお姉ちゃんのみゆきちゃんが出てきました。


「わあっ本当。可愛いねえ。迷ったのかなあ。寒いから中に入れてあげようよ」


そう言うとみゆきちゃんは子犬のてっちゃんをひょいと抱き上げて、またまことくんと廊下を
バタバタ走って部屋の中に入っていきました。




あれから10年。ワンパクな子犬だったてっちゃんも今ではひなたぼっこが大好きな、おじいさん
犬になりました。よく私の根元におしっこをひっかけて悪さをしたてっちゃんですが、暑さの厳しい
夏に、私の作る木陰で涼しそうに昼寝をしているてっちゃんを見ると、なんだか私までしあわせな
気持ちになるのでした。




ある日。


「ここにマンションが建つらしいね」


教えてくれたのはてっちゃんでした。


「昨日お父さんがキッチンでお話ししてたよ」
「そうなの。じゃあみんなで引っ越ししてしまうのかしら」
「多分ね。みゆきちゃんもちょうどお嫁に行っちゃうし、みんなで引っ越すんだろうね」
「そうなの」
「でも桜の樹さんには気の毒だけど、今度はここみたいに広い庭がないんだって。だから…
 桜の樹さんはね…」
「なあに」


「お母さんがね、てっちゃんは連れて行けるけど、庭の桜の樹までは無理ねって」
「そうね。今時こんな大きな桜の樹を植えられるおうちはなかなかないものよ」
「だから桜の樹さんともお別れになっちゃうね」
「本当ね。もうてっちゃんの前足でイタズラをされることもなくなっちゃうわね」


「いやだなあ、あれは若いときの話じゃないか」
「そうだったかしら、つい昨日のことのようだけど」
「うーーん。そうかなあ。あはは」


その話を聞いた日から、なかやまさんちにはたくさんのお客さんが訪れました。みゆきちゃんの
婚約者のかずとくんも何度も遊びに来て、私を見上げ


「いつ見ても立派だねーすごいや」


とほめてくれました。


「そうでしょ。私が産まれる前からずっといるのよ」
「お花見もできるんじゃない?」
「もちろん。でも引っ越したらお別れね。」
「そうかー残念だね」


そういうと、かずとくんは私の幹に手を触れてトントンと赤ちゃんを寝かす時の仕草のように
優しく叩いてくれました。




結婚式の日は、とてもにぎやかでした。見たこともないようなお客さんがたくさんやってきて
お父さんもお母さんも本当に忙しそうでした。お父さんはみゆきちゃんの結婚式の前の日に私を
見上げて


「つまんないつまんない。娘なんてほんとにつまんないな。なあそう思うだろ」


といいながら、今度は私の幹におでこをこつんこつんと当てて、幼稚園の時にみゆきちゃんと
よく一緒に歌っていた「おつかいありさん」を震える小さな声で口ずさんでいました。




家を壊す日が来ました。てっちゃんは朝から落ち着かなく私のまわりをぐるぐる回っては、工事の
おじさんに「コラコラ」と怒られていました。


「じゃあ家の建て壊しの前に、こいつを片づけちゃいますんで」


日に焼けた工事のおじさんが私を指さしながらそう言うと、てっちゃんは「うーっ」と唸りながら
おじさんのズボンの裾をくわえて引っ張りました。みんな遠くから私を見つめています。




私はいつからここに立っていたのでしょうか。本当に長かったような、でもほんの一瞬だった様な
そんな気がします。実際時の流れなんてそういうものなんだと私は思います。




側でキーンと鳴る電動のこぎりの音が気にならないほど、私は今色んな事を思い出しています。




無駄な枝をいつもきれいに刈り取ってくれたおじいちゃん。私が花を咲かせると一番にそれを
見つけてみんなに知らせてくれたおかあさん。「うちのさくらちゃん」と我が子のように私を呼んで
くれたお父さん。


みゆきちゃんがランドセルを初めて背負った時。私とみゆきちゃん、一緒に並んで写真に写して
もらいましたね。。まことくんが埋めたたくさんの宝物はまだ私の根元の土の中に眠っているよ。
そして、てっちゃん。


私は遠くから聞こえるてっちゃんの悲しい鳴き声を子守歌がわりに少しずつ目を閉じました。








私はベッドです。


いつからここに来たのかおぼえてはいません。ただ気が付いたら私の背中で赤ちゃんが
すやすやと眠っていたのです。ベッドの下ではずいぶん年を取った犬が、私に寄り添うように
とろとろとこちらも気持ちよさそうに眠っています。そして時折目を覚ましてはぺろぺろとベッドの
脚をなめて、また安心そうに眠るのでした。


「てつ!散歩行こうか」


玄関の方からなんだかとても懐かしい声が聞こえました。




私はベッドなんです。背中の赤ちゃんはまだ当分目を覚ましそうにありません。
そして私はなぜだか分からないけれど(いつまでもいつまでもここにいたい)そう思っていました。



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2008年 10月 10日 | Friends and Pet is Famlly | 桜の樹 はコメントを受け付けていません

小旅行

5日、6日と二泊三日で白樺高原へ行ってきました。

お世話になったのは白樺倶楽部、篠島から4時間ほどのペンションです。
ワンちゃん連れ専用のお宿でもう何度かお世話になっています。
平日だったので二日ともオーナー夫妻と遅くまで楽しくおしゃべりをしていました。

楽しい食事とゆったり流れる時間、メリーおばさん、リッキー、マイちゃん、クリちゃんとの楽しいひと時には癒されました。
去年は腰がひけていたテツ君もすり寄ってくれました。
我が家のラブにはリッキーが熊くらいに見えたかもしれません、びびりまくり吠えまくりでご迷惑をかけました。

広い広いドッグランも、もうすぐ完成のようです。
帰り道、次回はアルをドっグランにほったらかして土と緑の香りにむせながら居眠りする楽しい想像をしました。

三日間、高原で過ごして篠島へ帰れば、海抜0メートルなのに仕事の山(T_T)





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2008年 10月 10日 | Pet is Famlly and Shop & Travel | 小旅行 はコメントを受け付けていません

『ボクはここにいる』

今どきどこのペットショップを覗いてもお目にかかることはない、ボクはバブルの落とし子
シベリアンハスキー、名前は「ポチ」。

当時はボクらのブルーアイが珍しくて、カッチョいい売られ方もしていたようだけど
ボクなんて掛け合わせて掛け合わせて今ではマッチロイお目々の末代犬さ。

ボクは生まれて3ヵ月目に、ここ8丁目のサトウさん家に貰われて来たんだ。
ここん家にはボクが来る前に雑種の白い小さな犬がいたんだって。
その子はまもなく死んじゃったらしくて、ボクはその後がまってところかな。

サトウさん家にはパパとママ、それから中学2年生と小学6年生のお兄ちゃん、小学4年生の女の子がいて、ボクが最初に連れてこられたときはそれはそれは大変な騒ぎだった。
特に一番上のお兄ちゃんのボクにかける愛情は並大抵のものじゃなかった。

今では恥ずかしい話だけど、ボクはその時オシッコもウンチも我慢できなかったんだ。
ママの「いやぁ~ん、ちょっと待って~!」の一声に、いつもお兄ちゃんが両手を添えて
飛んで来てくれた。
ママはその度に「いやあね、どうして手で受けられるの」って聞くんだ
お兄ちゃんは「大丈夫だよ、汚くないんだって」ってニコニコして答える。
ボクが食事のときはボクのドックフードをポリポリ美味しそうに食べるし
そしてママは「そんなものよく食べられるわね」って言う。
お兄ちゃんは「だってポチが美味しそうに食べてるんだもん」って
やっぱりニコニコして言うんだ。

その時お兄ちゃんは学校が面白くないってボクによく言ってたよ。
少しはにかみ屋のおとなしいおにいちゃんは、色々なことをボクに話して聞かせてくれた。
部活の野球部は朝がきついけれど大好きだということ。
ボクはママに連れられてネット裏から応援したこともある。
そんな大好きな野球だけど、副部長のお兄ちゃんは「人間関係が難しい」ってボクの頭を撫でながら時々ボクにこぼしていた。
ボクにはなんのことだかちっとも分からなかったけれど、「お前だけには素直に何でも話せるよ」って、やっぱりニコニコして言うんだ。

ボクが一番好きなのはやっぱりこのお兄ちゃん。
でも一番尊敬するのはパパ、次に恐いのは?ママ、ボクより小さいくせに散歩していて急に走り出すと蹴りが入る乱暴な花子ちゃんも好き。
そうしてボクが唯一ダチと呼べるのが二番目のお兄ちゃん。こいつには負けない。意地悪するとお耳噛んじゃうぞ!へへへ

ある日みんなで遊んでいるとき、パパが一枚の写真を見せてくれた。

「これがシロだよ」

そこには白くて小さな犬が、花子ちゃんと一緒に写っていた。
なんだかボクに似ている。

パパが言うには
女の子が女になったとき、この子は病院に連れて行かれたらしい。
一泊の入院で手術をして、退院のその日にみんなで迎えに行ったとき
病院の都合で手術日がずれて一緒に帰れなかったらしいんだ。
みんなはシロがあんまり悲しそうに泣くので、無理しても連れて帰ろうとしたけど
シロのお腹の手術跡が思ったより大きくて、用心のためにもう一日病院に預けることに
したんだ。

「大丈夫だよ、明日迎えに来るからね」
「あと一日辛抱するんだよ」
「頑張るんだよ」

いっぱいいっぱい声をかけて帰った次の日の朝、病院から電話が掛かってきた。

「シロが亡くなりました」

パパが言うには「寂しい、寂しいって泣くと死んじゃうんだよ」

ボクには「寂しい」ってことよく分からないけれど
なんかちょっと悲しかった。
そうして「お前にはそんな思いをさせないよ」ってみんな口々に言うんだ。

この話を聞いてから、もう何年経つんだろう。
今でも白くてちっちゃな「シロ」の写真はパパの仕事カバンの中に大事にしまってある。

そうしてボクは相変わらず「寂しい」ってどういうことなんだか分からないけれど
今日も8丁目のこの家に、みんなが「ポチ!ただいま!」って帰ってくるのを今か今かと待っているんだ。

あ、言い忘れたけど、ボクは今では立派なジャパニーズハスキーさ。
寒いのキライ!夜になるとお家に入れてもらい、おコタにもぐり込んじゃう。
そうしてみんな揃った中で眠るのがボクの一番の幸せなんだ。

そうして今夜もみんなと一緒に 「おやすみなさい」

                                        。。。。
                                    ポチ   ●

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