新しい相棒

長く使った身卸出刃がちびたので、新たに購入しました。
下が新しい8寸の身卸出刃です。上は本出刃で、こちらも元は8寸ですが
3センチほど短くなっています。

出刃には、本出刃、中身出刃、相出刃、身卸出刃などの種類があります。
切り刃の形状も違いますが、おおむね刃の厚みの違いです。
これはメーカーで差があり、鍛冶屋さんが相出刃として作れば相出刃
身卸として作れば身卸出刃となります。

今回の身卸出刃は白二鋼です、錆びないイノックス、V10、モリブデン鋼などもあり
迷いましたが、オーソドックスな白二鋼にしました。
10年以上使った本出刃も白鋼ですが、改めてながめても
磨きにくい柄付近に浅い錆びが見える程度なので、白二の霞にしました。
高価な本焼は最初から選択肢外でした、出刃には本焼のメリットが見つけられません。

鏡面仕上げも、本刃付けも鞘も不要、朴の柄にして値打ちに入手できました。
鍛冶屋さんから出た包丁が刃付け、研ぎ、柄付けなど手間をかけるほど高価な包丁になります。
いつもの例で刀身さえ信頼出来る鍛冶屋さんならいいという考えで購入しました。

手にして眺めると、切っ先から4センチくらいのアールの通りがイマイチで
砥石に当てると、やはり違和感がありました。
方法は二つで、一つは微かに出たアールを研ぎ切ってしまうか
先端のシノギをほんの少し上げるかです。
現状の裏のいいラインを崩したくないので後者の方法で研ぎ始めました。
ダイヤモンドの400番で切刃のムラを抜き、シノギの先端を2ミリほど上げました。
普段は本焼、V10、モリブデンの柳刃を研いでいるの砥石なので楽に研げます。
比較的研ぎやすいイノックスより研ぎやすいです。
ただし、今の時点で鋼の硬度はかなり高く、一皮剥けるまでは研ぎ、使用ともに気を使いそうです。

ダイヤモンドの400番→セラミック400番→セラミック1000番→セラミック3000番で研ぎ進みました。
ベタ研ぎのままではあまりに弱々しいので、糸引きと言うより二段刃にして裏もやや広げました。

出刃の仕上げはセラミック3000番で終えるのが普段の研ぎですが
最初なので8000番の北山で裏表とも仕上げ、最後にアゴを少し丸めました。
二カ所ほど微かに残ったエクボは、ご愛嬌。

金属臭が移らないように丹念に洗い、さっそく鯛をさばいてみました。
本出刃と比べ、切っ先が骨に当る感覚が敏感で思い通りに三枚おろしが出来ます。
薄い刀身と魚に切り込切っ先の角度の差でしょう。
また8寸という長い刃渡りはスピードアップになりそうです。
スリムな刀身は身割れしやすいスズキの頭付近やサワラの三枚下ろしに活躍するでしょう。

本出刃と身卸出刃の厚みの違いです。

日本の包丁の種類の多さは他の文化圏に例がありません、ウナギ割きや鱧の骨切りなどといった
ただ一種の魚の一つの用途だけのための包丁も多くあります。
道具への徹底したこだわりや愛情、命をいただく魚への敬意と感謝は
日本人に残された数少ない美徳の一つと思います。

明日はこの新しい相棒で大型スズキ、ヒラメ、カンパチをさばきます。

2012年 6月 01日 | Others



One Response to “新しい相棒”

  1. 山 信彦 on 24 6月 2012 at 10:24 PM #

    この記事がアップされて3週間以上ですが、どなたからのコメントもありません。もったいなくて残念という思いと、また山が書き込んでいるとのつぶやきが聞こえそうとの懸念で躊躇していましたが、一言だけ書き込みます。

    包丁や砥石関係の記事を改めて読み直しましたが、職業上の必要性ではなく、趣味とこだわりの世界ですね。写真や言葉でなく、実物と手さばきを見つつ講釈してもらいたい思いが募ります。何人か集まれば、見て聞いてそして味わうというツアー的な企画は出来ないものでしょうか。平日なら(現役の方は難しいでしょうが)南風亭主人も加納では?

    過去のブログを一通り見ながら気付いた事は、メルマガはどうなったのかなという点です。お忙しいところ余分なご心配かけます。

    出刃といえば、カタログギフトで求めた出刃が当りでした。期待してなかったのに、よく切れるし、イサキ(40センチ近い大物)の骨をたたき切っても微塵も刃こぼれなしです。一応鋼との事ですが、詳しくはわかりません。合成砥石の中砥と仕上砥で研ぎましたが3枚おろしのときも中骨に殆ど身が残らず、腕が上がったような気がしました。ヘタなりに道具も大事ですね。

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