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会津八一と海ホタル

篠島には、会津八一の歌碑があります。

まどひくき はまのやどりのまくらべに ひねもすなきし ねこのこのこえ

長閑な歌です。
窓低き 浜の宿りの枕辺に ひねもす鳴きし 猫の子の声
(漢字に変えると八一独特の格調高さを損ないますが)

鹿鳴集、旅愁19首のうちの尾張篠島をおもふの第一首です。
じつは篠島を詠んだ歌はもう一首あります。
第二首として

きみとみし しまのうらわの むしのひの まなこにありて ととせへにけり

君と見し 島の浦和の 虫の灯の 目にありて十歳経にけり
島の浦和とはもちろん篠島の湾曲した浜辺で虫は海ホタルですね。
君と見た渚の海ホタルが10年たった今でも目に焼き付いているの意でしょう。

八一の歌心を刺激した風景が今もおだやかな波音をたてています。
浜を散歩しながらときおり見せる海ホタルの蒼い光に
浜をさすらう八一の姿を想像し、あらためて「篠島とは」と考えました。

春のおとずれとともに海ホタルも姿を見せはじめました。
島へ来られたら夜の浜場の散歩もお楽しみに加えてください。

2015年 3月 19日 | People | 会津八一と海ホタル はコメントを受け付けていません

高価ないただき物

先日お越しいただいたお客さまから思わぬお土産をいただきました。
なんと砥石、しかもたくさんの!

たくさんの砥石です

たくさんの砥石です

さっそく全て包丁を当ててみました。
白鋼、青鋼、ステンレス系で感じは変わりますが上段左のクリーム色が8000番
レンガ色の中砥は、たぶん800番、中央の薄茶色が1000番で二枚合わせの白は5000番の仕上と思います。
下段左の灰色も仕上げですが5000番よりわずかに荒いかもしれません。
小ぶりな二つは1000〜1200番の中砥と5000番の組み合わせです。

番手(粒度)はすべて推定です。

最近使っているのがほぼ全ての番手がセラミックで稀にダイヤモンドと天然ですが
古いタイプのキングの800、仕上げの6000と8000も独特の使い勝手で手放せません。
いただいた砥石はしっかり水を吸わせて滑らかに研ぐ懐かしいタイプでありながら
研磨力はキングに勝るという優れものです。
またキングの弱点であるステン系にも相性が良いと感じました。
特に下段の灰色はグレステン、イノックスの最後の糸引きに使うとキッと食い込む刃がつきます。

青鋼、白鋼の本焼きをセラミック系砥石で研ぐのはちょっと味気なさを感じていました。
このいただいた砥石は中砥も仕上げも炭素鋼にはすごく馴染みそうです。
砥石も包丁もそうですがしばらく使って一皮むけたあたりで本来の性能が出て来ます。
どの包丁に合うのかしばらく楽しい試行錯誤が続きます。

大切に使わせていただきます。
ありがとうございました。

2014年 4月 17日 | fish on ! and Gallery & photo and People | 高価ないただき物 はコメントを受け付けていません

今年は神宮の式年遷宮です。
通常10月12日の篠島のおんべ鯛奉納は本年に限り御遷宮のため9月の10日です。
本年も奉納おんべ鯛を調製する包丁の研ぎを頼まれました。

この包丁は神宮から支給され、柄には神宮司廰の焼き印があります。
大鯛も扱うためにかなりダメージがあり手持ちの中では一番荒い
240番からの研ぎになりました。
鋼はたぶん白二Bか白三で研ぎやすい包丁ではあります。
240番から400番、800番、3000番と研ぎ進み最後は一番左の天然砥で仕上げました。
裏はセラミック砥石ではなく普通の6000番できれいにカエリは取れました。

出刃を天然の合わせ砥で仕上げる必要は無いのですが
1000年以上続く伊勢神宮への篠島おんべ鯛奉納で使う包丁は
先人もきっと天然の合わ砥での仕上げまでやったはずです。
無駄と思えるほど手間をかけて最高の鯛を用意し調製する。
それが島人の神宮への思いなのです。

2013年 8月 29日 | People | コメントを受け付けていません

お百姓さんは偉大だ

南風も小さな菜園をやっています。
猫の額というと猫に気が引けるほどの小ささですが
それでも少し目を離すと雑草や虫に苦しめられます。
広く良く手入れされた畑や田は見ているだけで感動ものです。
何気なく訪れた鳳来寺の棚田を見上げた時、その美しさに圧倒されました。
これが人の知恵と筋肉だけで作られ、守られて来たと思ったら涙が出て来ました。

話しがそれました。

今日は同じ町内の花ひろばさんへ行ってきました。
お泊りのお客さまから何度かいちご狩りの問い合わせをいただいたことから
一度見てみたいと思い立ち見学させていただきました。
フェースブックの伝だけでアポもとらず突然の訪問でしたが快く迎えていただきました。

さっそくハウスに案内していただきました。
一歩入った瞬間に、甘いいちごの香りに酔いそうでした。

花ひろばさんのいちごハウス

花ひろばさんのいちごハウス

しばらく話しをうかがってすすめられた一粒のいちご・・・ショックでした。
「今まで食べていたいちごは、なんだったんだ?」という甘さでした。

ご主人と奥様との話しの中で「満足していただきたい」
「楽しいんでいただきたい」こんな言葉が何度も出てきました。
初対面にもかかわらず旧知のように楽しく話しを聞かせていただけたのは
島の漁師が異口同音に「篠島のタコは明石のタコより美味い」とか
「ここのシラスは日本一」とか自慢します・・実際美味いのですが
自信は持っていても、不器用でセールストークのような混じりっ気なく
たくさんの人に喜んでもらいたいという純粋な漁師との共通点をお二人のお話から
感じたからかもしれません。

お子さま連れのご家族にはおすすめです。
この年までイチゴの本当の美味しさを知らなかったなんて不幸です。

リピーターのお客さまも多く、すべてのお客さまのご予約が受けられず
心苦しいと言っておられました、早めのご予約が必要です。
いちご狩りの他にも一年を通じて花や野菜狩りも楽しめます。

いちご狩りハウスなどは入れませんがペット連れでも楽しめるスペースもあります。


春の出番を待つ花でしょうか。

最後に
花ひろばさまからお客さまにとって、ちょっとお得なお話をいただきました。

ここからセールストークです(^^;
花ひろばさまへは篠島への主な起点となる師崎港からお車で数分です。
南風にお泊りになってご家族でいちご狩に興味がありましたらぜひ一声かけて下さい。

先日のジョイフルファームさんもそうですが、ご家族連れに篠島の旅+をお楽しみいただけるように
また足を運び、この目で確認し自信をもってお勧めできる知多半島のスポットを見つけ
紹介してゆきたいと思います。

2013年 1月 25日 | Friends and People and Pet is Famlly and Shop & Travel | お百姓さんは偉大だ はコメントを受け付けていません

篠島散策 其の一

お正月、ぽっかり空いた半日のお休みに島の散策路を歩いてみました。
まずは定番中の定番、日本夕日百選に名を連ねる歌碑公園と加藤清正の枕石です。

三時ジャストに南風を出発しました。
渚沿いに歩くこと400mで登り坂への分岐です。
「歌碑公園、加藤清正の枕石」の案内板があります。
この登りは津波避難経路にもなっています。

ここからは結構な登りです。
やがて篠島小学校、篠島中学校の校門です。
宿からここまで9分でした。

我らが母校です。

我らが母校です。

左を見上げると伊勢湾本船航路を通過する船舶を監視するレーダーサイトが見えます。
ここから下りになります。
下り終えると可愛い案内板があります。
右へ行けば加登清正の枕石、左は歌碑公園へ向かう道です。

まずは枕石へ向かいます。
小学校のグランドを通過して登りになります。
右なら右、左なら左と、同じ足ばかり枕木をまたぐ間の悪い階段です
途中でスイッチしましょう。

階段を登り切ると木漏れ日と落ち葉の道になります。

まるで植えられたかのような水仙の小径になります。
島にはいたるところに水仙の群落があります。
ほとんどが八重の水仙で、一月下旬頃から咲き始め
水仙の香りも楽しめる散策となります。

最後の下りは傾斜もややきつく、転倒に注意して下さい。

加登清正の枕石に到着です。
宿からここまで所要19分でした。

ここは南風が崎(まぜがさき)とよばれ、絶好の撮影ポイントでもあります。
下って左手に目をやれば、ここにも400年の風波に耐えた石切の跡がくっきり見えます。

これが加藤清正の枕石です。
どうしても運び出せなかったという巨岩です。

南風が崎は、あまり知られていいませんが隠れ釣りポイントでもあります。
春は未明のメバル、夜が明けてからアイナメ、夏は投げでキス、ルアーでシーバス
夏から秋にかけて黒鯛やメジナ、冬は夜間のメバルと、子供の頃は何度も通った場所です。
南東の風が強い日は釣りになりませんが、冬の北西の風では、よいポイントが
すっぽりと風影になります。
(夜間は十分気をつけて移動して下さい)

歌碑公園から望む松島もよい絵ですが、ここからの松島も雄大です。
ほとんどの島の漁船は松島と南風が崎の間を通過します。

帰りは同じ道を歩きます。
ここにも水仙の群落があります。

アップダウンが足に優しい木漏れ日の道を戻り、可愛い案内板へ戻ります。
枕石から12分でした。
そのまま直進で歌碑公園に向かいます。
舗装された道です。

中学校の分岐から5分ほどで桜の大木をくぐると歌碑公園、万葉の丘に到着です。

歌碑公園展望台です。

中学校と、歩いて来た南風ガ崎を望みます。

松島です、ここに落ちる夕日は多くのファンがカメラを構え、
一瞬の光芒に誰もが無口になります。

遠く伊良湖岬と神島が見えます。

昔、鯨が水揚げされたと言われ、鯨浜(くじはま)という名で呼ばれ
新美南吉の詩にも歌われています。
またここからは多くの縄文、弥生土器が出土します。

眼下の海の安全を守った、かつての灯台も復元されています。

歌碑公園の由来となった歌です。
この歌が歌われた万葉の時から変わらぬ風景が広がっています。

小さな渚も点在しています。
鯨浜も、ここもキス狙いで投げのポイントです。

このあたりは、いたるところにアシタバが自生しています。

来た道をもどります。
歌碑公園から南風まで20分でした。

ペースは意識してゆっくり歩きました。
危険な場所はありませんが、アップダウンもありますので
自転車より歩きがおすすめです。
登りで息が苦しくなったら意識して息を吐いて下さい。
歩き慣れない方は一生懸命息を吸おうとしますが逆効果です。
一休みして深く息を吐けばより新鮮な酸素を取り込め楽になります。
下りでは落ち葉がつもっている時期は滑りますのでご注意下さい。
上り下りの道は普段の歩行ペースの半分のスピードを心がけて下さい。

ゆっくり歩き、写真を撮って一時間10分の散策でした。
歩くスピードでしか見えない景色をお楽しみ下さい。

其の二ではちょっと健脚コースの西山一周を予定しています。

2013年 1月 14日 | Gallery & photo and Others and People | 篠島散策 其の一 はコメントを受け付けていません

あけましておめでとうございます

昨年は、多くのお客さまにご利用いただき、充実した一年となりました。
本年も宿初めの12日より多くのご予約をいただき、ありがとうございます。

また一年、お客さまの旅の思い出作りのお手伝いをさせていただきます。
平成25年も南風をよろしくお願いします。

島の初詣風景です。

2013年 1月 02日 | People | あけましておめでとうございます はコメントを受け付けていません

8トンの矢穴石とそれより重い想い

ついに矢穴石が名古屋へ出発しました。

今も残る300以上の矢穴石のうちから運搬手段、姿、大きさから8トンの石が選ばれました。
名古屋城築城のおりには島の形が変わるほど膨大な量の石材が切り出されました。
子供の頃から「名古屋城の石垣は篠島の石でできているんだぞ」と島の長老から
何度も聞かされた風景が今日はカラー映像のように鮮明に思い出されます。
「篠島に多く残る矢穴石の一つでも名古屋城へ展示できたら・・・」と、初めて聞かされたのは島の石橋さんからでした。
篠島が国定公園に指定されていること、一方、名古屋城も文化財であることから
それは難しいだろう、と言うのが実感でした。
それでも石橋さんはどうしても名古屋城を訪れる人たちに名古屋城を支える
石垣の歴史を知ってもらいたいという情熱から、孤軍奮闘で各方面に運動をされました。
一条の光りが見えた頃には、篠島漁協、南知多町、篠島区、観光協会を巻き込んだ
大きなうねりとなっていました。
個人の情熱から始まった篠島矢穴石を名古屋城へという願いが、多くのハードルを越えました。

名古屋城があるかぎり、この矢穴石は、見る人に遥か昔の築城風景を想像させるでしょう。
石橋さんをはじめとして、この運動に奔走した島民と南知多町の支援には感謝しかありません。

23日に名古屋城で行われる引き渡し式では、石橋さんの晴れがましい顔をちょっとのぞいて
幸せを味わいたいと思います。

2012年 9月 18日 | Others and People | 8トンの矢穴石とそれより重い想い はコメントを受け付けていません